電子の柩

日記やラノベの書評をつらつらと。
○ SHI-NO -シノ- 黒き魂の少女
2006.02.17
SHINO ―シノ― 黒き魂の少女 (富士見ミステリー文庫)
著者:上月雨音 イラスト:東条さかな

夕方になると僕のアパートのドアをノックも無しに開け、当然のように無言で部屋に上がり込む彼女――支倉志乃ちゃん。彼女は小学五年生。僕は大学一年だけど、志乃ちゃんとは幼なじみなのだ。僕には一つだけ心配な事がある。志乃ちゃんは猟奇的な事件や怪事件にだけ異常に興味を示すのだ。僕は、志乃ちゃんにはワガママでもいいから普通の小学生で居て欲しいのに。けれど、そんな僕の気持ちとは関係無く、彼女は危ない事件の謎に近づいていたんだ……。


迷わず表紙買い。
だが後悔は無い。

少女にハァハァするような話ではないですよ。
どこにでもいるような大学生の僕とどこにもいないような小学生の志乃ちゃんが普通ではない事件に関わったり掠ったり乗り込んだりするミステリーにはよくある話です。
ただ一つ普通のミステリーと違うのは志乃ちゃんが黒き魂の持ち主だということ。

事件は結構残酷目。
吸血鬼とか出てきます。血は吸わないけど。

ミステリーというよりはミステリアス。
メインテーマなだけに「生」と「死」についての云々がかなり多いです。
なので哲学的な事が苦手な人は読むのに苦労するかも。
書評-富士見ミステリー文庫 | 09:27 | コメント | トラックバック
△ シナオシ
2005.12.26
シナオシ (富士見ミステリー文庫)
著者:田代裕彦 イラスト:若月さな

入学式を終えた《私》を待っていたのは死後の世界の案内人を名乗る《ナヴィ》。《私》は思い出した――かつて《僕》だったことを。《僕》はかつて殺人者だったのだ。《ナヴィ》は言った。「やり直してみるか?」……


為直す者―シナオシ―に物凄い違和感。案内人はナヴィゲーター、見物人ならオーディエンスと英語の読みなのに、なんで為直す者だけシナオシ?
てか、為直す者って言葉も変ではないでしょうか。やり直すなら分かりますが、”為直す”なんて言葉あまり使わないと思うのですが。

中身ですが、ストーリー、キャラクター共に魅力を感じず。
意図してのことなのでしょうが、早々に《僕》が誰か分かるのはどうかと。おかげで《私》の行動をただ眺めるだけになってしまい、盛り上がりに欠けるのですが。
最後に色々ありますがそれも特に面白くも無く。

あとがきには、シナオシはキリサキの続編みたいなもの、と書いてありますが、シナオシを読んだ後ではキリサキを読んでみたいとは思えませんでした。
書評-富士見ミステリー文庫 | 12:29 | コメント | トラックバック
○ 熾天使たちの5分後
2005.11.22
熾天使たちの5分後 (富士見ミステリー文庫)
著者:木ノ歌詠 イラスト:六羽田共

本作に登場する熾天使(セラフィム)という少女型生体兵器たちは、人間に替わり、戦場で活動をするために造られた。だが、熾天使には人間の女の子と同じ「心」があった。主人公の知路が出会ったのは、そんな熾天使のひとり佳撫。幼い頃、佳撫に命を救われた知路は、彼女の面影を追って成長する。やがて、中学生になった知路の学校に転校してきたのは、佳撫と同じ顔をした少女・通夜だった。彼女は佳撫ではないのか? 通夜との出会いが知路の未来を変える!


「セラフィム」と言う名の生体兵器が存在する近未来。が、舞台なのですが、あまり未来という感じはしません。あとがきを読んではじめて、この作品がSFだと思いましたし。
確かに普通に考えれば、生体兵器なんてSFに登場するような存在なのでしょうが、日常的にそういった類の本ばかり読んでいたため、生体兵器=SFだと思えなくなっていたみたいです。慣れって怖いですね。
なにせ人間慣れれば、駅前でメイドさんがティッシュを配っていても気にならなくなるぐらいですから。

閑話休題。

本作ですが、全体的にシリアスに進んでいきます。
タイトルの意味が中盤辺りで分かるのですが、か〜なりシリアスです。
終盤の展開ですが、序盤からはちょっと想像の出来ないものとなっています。というか想像するのは無理です。いきなり登場したおっさんがあんな事をするなんて。

読み終えた後、私の5分間は一体どんなものになるのかとちょっと考えてみたのですが、ありきたり想像しかできませんでした。
どうせなら楽しい5分間を過ごしたいです。
書評-富士見ミステリー文庫 | 22:00 | コメント | トラックバック